• お知らせ
  • スパコン産学連携利用・人財育成セミナーのご案内

お知らせ

スパコン産学連携利用・人財育成セミナーのご案内

スパコン産学連携利用・人材育成セミナー in 北陸 講演概要

開催日 2016年11月21日(月)
場 所 北陸先端科学技術大学院大学 金沢駅前オフィス

講演1

演題「現象のモデリングとシミュレーション:流体を例として」
講演者:金沢大学 理工研究域 数物科学系 准教授 野津裕史
講演内容:
身の周りにある多くのプラスチックは、温めて流体として型に流し込み、冷まして固化して製品化しる。プラスチックは総じて軽くて硬いという特徴があり、自動車や航空機などの輸送機の部品への利用が進められている。プラスチックが流体状態のときは、ドロドロしている粘弾性流体と呼ばれ、水などのようにスムーズに流れない。例えば、いかに効率良く型に流すか、というのは簡単なようでいろいろな課題を含んでいる。まだこれからではあるが、マクロな視点にたったモデリングやシミュレーションの立場から、粘性流体(例:水)と粘弾性流体(例:プラスチック)の違いや、現状と今後の方向性について紹介する。また、本学の計算科学コース計算数理学講座の他の教員の研究内容である、亀裂進展や接触・剥離などのモデリングとシミュレーションについても紹介する。

講演2

演題「機能材料の高性能化を支援する計算物質科学:ImPACT プログラム取組事例」
講演者:金沢大学 理工研究域 数物科学系 教授 小田竜樹
講演内容:
材料の多機能化や高性能化が産業競争力を生み、新規物質の開発が異業種への展開を可能にする。幸いなことに近年、計算物質科学の進展により、高性能計算機を利用して物質開発や材料高機能化を支援することができる可能性が高まってきた。これは非経験的(勝手に決めた経験的パラメータに依拠しない)計算手法の適用範囲が広まり、その計算精度が高まってきたことに由来する。
物性や材料特性は微視的機構により説明できることが多々あるが、その小さな規模での改良を目指すことにより材料機能の向上が期待されたり、物質開発が可能となったりする。
本講演では、一般的な計算プログラムの概要と、講演者がImPACT プログラムの中で現在取り組んでいる事例を紹介する。この取組では、磁性材料(極薄金属磁性層/酸化物)の高性能化を実現するための計算科学支援を実施している。
http://cphys.s.kanazawa-u.ac.jp/~oda-web/contents/oda/ImPACT/ImPACT.html
http://www.jst.go.jp/impact/program/04.html

講演3

演題「第一原理計算の産業応用に関する現状」
講演者:北陸先端科学技術大学院大学・情報科学系 准教授 前園涼
講演内容:
「第一原理」と称される技術が、素材系産業で「産学連携牽引の新たな協働スタイル」に変貌を遂げている。汎用プログラムがネット上に無料頒布され、現場技術者のノートPC上で、材料探索を自動的に肩代わりし、実験計画を絞り込む。膨大な組合せに疲弊した現場技術者の士気向上という点でも効果が高く、取り入れる企業も増えている。この新しい産学協働の漸次導入について、人材も存在せぬ未知状況から、企業側が、投機的段階で、院生派遣や研究員雇用を行うのは現実的でない。連携振興の裾野拡張には、段階的な軟着陸に工夫が必要である。人財を階層的にワークシェアし、元来の企業実務に従事しながら、徐々に専門知識を定着させる試みについて紹介する。

講演4

演題「産業界専用FOCUS スパコンと京コンピュータの産業利用のご案内」
講演者:計算科学振興財団(FOCUS)普及促進グループ長 中谷景一
講演内容:
シミュレーション技術とスーパーコンピュータの活用が、あらゆる分野の産業における製品の開発設計の効率化、開発期間の短縮、開発コストの削減などに大きな効果を上げている。産業界専用のエントリー型スパコンであるFOCUS スパコンは、稼働開始から6年目を迎えているが、利用法人数は毎年増加し続け今年度は146法人184課題に達した。(2016年10月現在)FOCUSスパコンは1時間100円からインターネット経由で利用できるが、その利用形態、利用料金など企業が利用しやすい仕組みや利用状況などを紹介する。また、京コンピュータの産業利用についても紹介する。